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「女性活躍推進法案」を受けて企業における女性管理職の比率アップに注目が集まっていますが、一筋縄ではいかない問題でしょう。頭を抱える人事担当者の方が多いのが現状ではないでしょうか。ここでは女性管理職登用を取り巻く問題と、その対策についてまとめていきます。
女性管理職育成を取り巻く現状
現在の日本における管理職層の女性比率は約11%と以前に比べると上昇傾向にありますが、国際比較を行いますとアメリカは約43%、フランスは39%と先進国のなかでみるとやはり大きな後れをとっています。また、役員層にいたっては、欧州の平均値約11%に比較して、日本は1.23%と大きく差が広がっているのが現状です。
管理職となる年齢は早くても30代前半になってからと考えると、まさに女性にとって結婚、出産、育児と重なる年齢。男性顔負けに仕事を行うのがかなり厳しい状況であるのは当然のこと。日本企業においては能力があっても出産を機に退職してしまい、結果的に管理職候補としては男性社員しか残らないという流れになっています。
まずは実態調査!女性が管理職になりたくない理由とは?
インテリジェンスHITO総合研究所とDODAが全国の正社員として働く25歳~44歳の女性1,058名に実施した「働く女性の管理職に対する意識調査」では、75.6%が管理職になりたくないと回答しています。
各企業において状況はさまざまですが、多くの日本における管理職は長時間労働、残業が当たり前という前提で成り立っており、家庭や育児を両立させながら、仕事第一に考える男性社員と渡り合っていくのは非常に難しいといえます。
また、前述のように、実際にそのような女性管理職がいたとしても、その数は決して多くはありません。若手女性社員が「その人が特別」「私は、ああはなれない」と思っても不思議ではないでしょう。
女性の意識改革は、まずキャリアイメージを考えることから
女性の働く環境の改善を考える前に、女性社員自身が管理職を敬遠しているようでは、環境を整えても無駄に終わってしまいます。敬遠する背景として考えられるのは、長時間労働が当たり前となっている働き方であるということは先に述べたとおりです。しかし、これまで女性にとって異動・昇進や新たな仕事を担当する機会が限定的であったこと、そのため未知の仕事や不慣れな役割に対する不安が強いのではないかということも理由として考えられます。
企業によっては、女性には定型的な業務や比較的責任の軽い仕事が任せられ、業務を通じた育成機会が不足しているのではないでしょうか。そのことにより、未知の仕事や不慣れな役割に対する不安が強いのではないかということが考えられます。業務体験を通した能力開発をする機会を増やすためには、女性社員に仕事、キャリアに対する自覚、責任の再認識を促すような場を作ることが重要です。
自分自身の人生と会社生活を照らし合わせたキャリア設計、自分が変わることで周囲にどんな影響を与えられるのかなど、今後どのようにステップアップしていきたいかを考える、キャリア研修を実施することが有効でしょう。
女性管理職の育成には女性を取り巻く環境にメスを
次に、女性が働きやすい職場を考えるうえで、長時間労働の見直しは避けては通れません。遅くとも保育園のお迎えに行ける時間に業務を終えられるようにする制度が必要になってきます。また社内にいなくても業務を進められるような仕組みを整えたり、業務プロセスを改善するためのワークショップを行ったりすることも効果的です。しかしながら、このような仕組みを作ったとしても運用できなければ絵に描いた餅で終わってしまいます。
つまり、こうした仕組みをきちんと運用できるように周りの男性社員、上司からの理解が必要になってきます。そのために、上層部や現在の管理職層への意識変革を促すことが大切です。
具体的には、女性管理職を増やすこと、つまり女性が活躍する職場を作ることにどんな意味があるのかを男性管理職に考えてもらいます。この理解を促進させなければ、長期的に女性が活躍できる土壌を形成することはできません。しかし、これまでの自社の風習や価値観の外で考えるのは難しいもの。そんなときは女性活用・ダイバーシティ推進に明るいコンサルタントを招いて研修会を実施することも一案です。
このように女性社員を管理職に登用していくにあたっては、女性社員に対する直接的なアプローチと同時に周囲の環境、会社の制度等を見直していく間接的なアプローチの両輪で進めていくことが重要です。